アーティスト図鑑

Develop One’s Faculties yuyaのこと

yuya【ゆうや】
「そらで言えたら鼻高々なバンド名ランキング」において一位の座を欲しいままにした聖なる奇人変人集団「ディヴェロプワンスファーカルティース」のセンター。作詞・作曲・編曲のすべてを担当するギターボーカルであり、ギターにおいても歌においても聴き手の度肝を抜く技量の持ち主である彼のことを人は「V系界の大谷翔平」と呼ぶ。
その場に居合わせた人間を揃ってシンプソンズファミリーの様な顔にさせてしまう彼の前衛的な生爪プレイ(ピックを一切使わない)は、観客のみならず楽屋のバンドマンをも震撼させる。

活動初期から一貫して少年ジャンプの主人公らを彷彿とさせる真っすぐで勇敢な詩を綴っており、冷静な現代人にとっては聞いていてちょっと照れくさくなるくらいのその愚直な言葉たちが持ち前の声量満点ハスキーボイスで歌いあげられたとき、聴き手の体が物理的にビビるくらいの衝撃波が全方位に放たれる。

言葉と感情の体内循環力に長けすぎた彼の歌はどの楽曲においても怖いくらいに澄んでおり、そうあるが故に発する芸術の鮮度がバカ高い。活きて「聴」まで届く音楽を作らせたら、彼の右に出る者はいないだろう。
「この人以上に自分にも他人にも音楽にも嘘をつけない人はいないんじゃないか」と思わされるその純然たる歌唱は、嘆きの歌では激烈なる怒りに、また憂いの歌では涙を禁じ得ない優しさへと姿を変える。

これだけの才人であらば当然のことだが、自身の作る楽曲とそれを体現するメンバーのサウンドに絶対的な自信を持っており、代表曲のひとつともいえる『斑』では、会場内の全ての眼球を支配するトリッキーなギターソロを前に「今日一番やべぇギター聴かしてやるよ!」などと声高に宣言することもままあるが、1秒先にはそんな言葉のインパクトさえ一瞬で消滅させるほどの驚愕プレイを見せつけてくれるのだからたまらない。

彼の異端っぷりは何も演奏に限ったことにあらず、彼の生み出す「言葉」そのものからも見て取れる。
確実に言葉を発して歌っているのにも関わらず、何度聴き直しても「なんて言ってるの?英語?」と聴く者を疑問符の山に埋める楽曲を多く手掛ける彼。
耳コピ不能なのも無理はない。何故ならそれは、彼にしか話せない「岡田語」からなるもので、現代の言語分析力では到底追い付けないシロモノなのだから。
その証拠に岡田語で歌われる楽曲には歌詞カードに一切の詩が記載されず、彼自身もそれについて語ることはない。なんなら、本人ですら分かっていない説も濃厚だ。
前述の『斑』に関しては、シングルの表題曲なのにも関わらずまさかの岡田語ナンバーだったりする。

そんな、作品上でも十分すぎるほどの魅力や斬新さが感じられるディヴェロプワンスファーカルティースだが、その異才が最も猛威をふるうのは何を隠そう生のライヴである。
とにもかくにもディヴェロプワンスファーカルティースの魅力は「生」で体感してもらわないことには話にならない。ディヴェロプワンスファーカルティース(言いたい)。

それがどんなに声を荒げながら嘆きを叫ぶ曲であれ、呼吸を忘れてしまうくらいに惹き込まれる切ないバラードであれ、ライヴの場において詩と詩の隙間に「うれしいな」「ありがとう」という、その瞬間のリアルに生まれた言葉を綻んだ表情でこぼす姿には、観る者に「今日ここでこの歌を聴けて良かった」という掛け替えのない感動を与えつづけている。
打算も思惑もない、「今思ったから言う。曲中であろうが伝えたいから話す」という、その心臓直結な想いが放つ輝きは裸眼では直視できないレベルの照度を誇る。

観ている人に、またその空間に流れる時間へ向けて、常に「瞬間の気持ち」を歌う彼の唄は一度として同じ色になり得ず、ディヴェロプワンスファーカルティースのライヴに絶対としてある「依存性」の正体はそこなのではないかと、愛知県日進市では秘かにそう噂されている。
言うなれば開きっぱなしの蛇口。彼の辞書に「出し惜しみ」「駆け引き」という言葉は存在しないのである。

そして、彼のことを語る上で絶対に言い忘れてはならないこと。
それは、『monochro』という日本中のバラードを一口で飲み込んでしまうくらいの超超超名作を生み出してしまった罪である(イエローカード)。
そこに至るまでにこの歌を何百回再生していたとしても、何千回生で体感したとしても心が一向に慣れることのない、常軌を逸した「あの時間の感動」は言語化しようがない(岡田語ならいけるかも)。
いくら心の準備をしていようが、おかまいなしに聴き手の涙腺を通勤快速へシフトさせる後半のアカペラ絶唱は「備えあれば憂いなし」という日本古来の掟を豪快に打ち破るパワーと叙情性を誇る。
バンドにとって大きな意味、思い入れ、こだわりあってのそれであるということを重々理解しながらも、この楽曲がCDで音源化されていないことは、これまたなかなかの大罪である(イエロー2枚目)。

そして、ここからは人柄編。
特筆すべきことのひとつとして、業界屈指の猛者どもが「あんな酒の飲み方をする奴はいない!あいつはやばい!」と口を揃える程のハイパー酒豪。
水どころではなく、まるで酸素かの如くアルコールをガブガブと飲み干す姿は、ライヴでのパフォーマンス級にアグレッシブかつアナーキー。
しかし、酔っても尚、人に迷惑を掛けるタイプでは決してなく、むしろ「陽気で最高に楽しいから好き!」と、オフの場においても多くの人々から愛される素質の持ち主であることでも有名だ。

人前ではどこまでも純粋で強く、揺らぐことない信念を持つ彼だが、だからこそ繊細で脆い部分も時折垣間見られる。
「この人の悲しい顔だけは見たくない」とファンや関係者から強く願われる愛されるべき存在にして、あらゆる意味でまごうことなき天才。
いくら褒めても褒めたりない若き逸材がこのシーンに存在してくれることを誇りに思わずにはいられない。
幼稚であるが故の少年っぽさではなく、膨大な優しさを由来とした本物の「無邪気さ」を抱えた絶滅危惧種の大人。
それが Develop One’s Faculties yuyaなのである。