制作

シェルミィ『少女地獄』

あなたが本作を再生したその日に、この世から姿を消してしまう運命にある五人の少女。
異なる苦悩を抱えた彼女たちの青く脆い心情をまるで実体験かの様に生々しく丁寧に切り取る豹さんの詩才があまりにも光り過ぎた確信犯的コンセプトミニアルバム『少女地獄』。
「聴く短編小説集」ともいえようとんでもねえ傑作の誕生に世は大変にご乱心でございます。

「嫌いだから殺した」
「辛いから死んだ」
そんな見せかけのファッション殺戮が存在しないからこその厄介。
「ちっとも笑えない救いのなさ」があなたを襲う数時間前。それが今なのです。
共感を求めず、世に蔓延る正解を受け入れようとしない絢・可奈・ハルカ・美雪・百合の五人。
真っ白な紙のうえ、律儀に五十音順で命を絶っていく彼女たちの純粋な訴えは、あなたの心にどんな形の傷を残すのか。
過ぎ去った思春期を思い返しながら、或いは大人になり切れない今の御自身と照らし合わせながら、「わたしの憂鬱は可奈っぽいな」「私が可奈だったらこんな風には死ななかった」「百合って子、本当に死ぬ気ある?」なんて具合に、似た者探しや粗探しをしてみるのも楽しいかもしれません。

御託はここまで。
さぁさ、綺麗で優しく、ときに超キュートなメロディーに騙されながら、シェルミィが手招く入獄料二一六〇円の切なさ地獄へ行ってらっしゃいませ。
なぁに、後ろめたさを感じる必要などございません。
あなたに出逢おうが出逢うまいが、彼女たちの運命は変わらないのですから。