制作

ラッコ『弱肉教職』

結成から僅か一年の間に眼鏡屋→洋菓子店のパティシエと職を”てんてん”としてきたあのラッコが次に選んだのは教職員のお仕事。
まるで一貫性のない職歴ではありますが、そこは各業界で確実に爪痕を残してきた彼らのことです。「さぞかし凄まじい教育を施してくれるに違いない」と期待するのは自然の摂理。

孤独のカリスマ平一洋教授を中心とする総勢5名の「フツウじゃない講師陣」が自らの理念とヒリついた感情論をバシバシ叩き込んでくださる34分44秒のスパルタ授業。
聴きながら自然と脳裏をよぎる「何故こんなにもこのバンドの音は格好良いのか」という疑問に答えを見出せない珠玉の11曲のなかで、渋谷に身を置く店として語らずにはいられないのが5時限目の『精神分析学(青年ナイフ)』。
非常に危ういバランスで精神を保っている男の塞ぎ込むような自問自答に息苦しくなりながらも、聴き終えたあとには不思議と救われた気分になってしまうとても不思議な力を持った一曲です。
当店からの帰り道、渋谷駅まで向かう道のりで再生すれば、耳元で歌われるすべての言葉が目の前の景色とリンクしていくという五感歓喜のバーチャルリアリティーを味わえる最高のバラード。
どうか、一つでも多くの手に届きますように。