わたくしごと

V系は下火なの

ハッピバースデーツーユー♪
というわけで、埼玉は本日無事に梅雨入りした模様です。
窓越しの騒がしい豪雨に作業を邪魔されては、「雨音が好きって奴の気が知れねぇ」とやさぐれちゃう昼下がり。私が好きな「雨音」はDAMYのそれに限った話でおじゃる。

はてさて、今日のテーマへと入る前に、皆様にお礼を言わなければならないことが。あざちゃんから。

LINEスタンプの審査通ったよ。ありがとう。

以上、あざちゃんでした。
先日もお話した通り、第3弾の売上を使って購入したiPadとApple Pencilで今回のスタンプを作成させていただきました。
相変わらずの幼稚な絵柄ではありますが、念願であった「小さめで線の綺麗なスタンプ」を作ることが出来て、とても嬉しいです。
改めて、過去のスタンプを購入してくださった方々に感謝御礼申し上げます(にしても、24個の内の最後に収めたスタンプが審査に通ったことは驚き桃の木丸山英紀よ…)。

さて、それともうひとつ忘れてはならないのが、Twitterでご協力いただいた例のアンケートについてです。
「CDにもライヴにもお金を使われるV系ファンの方々は、今現在おいくつなのだろう」という私の疑問に対し、武道館が見切り席まで満杯になるほどの投票をいただきました。
これは、私個人や皆様にとってだけでなく、業界にお勤めの方々にとってもかなり信憑性のある貴重なデータに成り得るかと存じます。
先日集計結果が発表となりましたので、ここでもご報告致します。ていっ!

投稿時の私の予想としては、「二十歳以上の枠が全て32%で、十代は4%かそれに満たないくらいかな」と思っていたのですが、想像以上に十代の方が多くて驚きました。
投票いただいた方の中にはもしかしたら「え?十代の子がこんなに少ないの!?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、割合はともかくとして、その枠が最も少ないということは、業界におられる方にとっちゃ「THE承知の事実」であったりします。そして、この事実こそが「シーンにとっての一番の嘆きである」と言っても過言ではないでしょう(あくまでも内側の人は、の話)。

今回のアンケートに設定した年齢層を「10代ごと」に割り振らなかったのは、最後の選択肢を「34歳以上」としたことによってバランスが偏ることは考えにくいと思ったことが理由でした。
私が内側にいたときに感じた「シーン内における流行の境目」と「バンドを辞めてしまう人が多い年齢の境界線」も加味して、あの様な選択肢を設けたかたちになります。

右足親指の爪の先っちょくらいまでしか(仕事として)業界に身を寄せていなかった私ではありますが、その7年ちょいの期間、特に後半の2年に「あなた様もそう仰るのね」と、ある種の常套句めいたセリフをあちらこちらから嫌っちゅうくらい聞いてきました。
シーンを取り囲む大人様が口を揃えて言っていたのは、この言葉です。

「若い子がいない」

この「子」というのは、ヴィジュアル系を支持するファンだけではなく、ステージに立つことを本職とするバンドマンのことも指しています。
というより、その言葉を口にする大人ズの口調から察するに、彼らが危惧していたのは、むしろ後者の激激激減少についてだった様に思えます。ビジネス的な観点で言えば、それを恐れるのは当然のことです。

これまで、私の言動をなんとなーくでもそれなりーに見てきてくださった方々にはもしかしたら伝わっているかもしれませんが、私はこういった「シーンの嘆き」みたいなこと(時事ネタチックなね)を話すのがあまり好きではなく、今日までその手の話をすることがほぼ無いに等しい状態でした。
ただ、そんな私ですら「これは本当に笑えないところまできた」と、職務上あらゆるものから感じざるを得ない状況にあったのは確かで、僅かな間に「つい一ヶ月前まではそこにいた人たち」が次々に姿を消していくことに寂しさを覚えていたのもまた事実です。

栄枯盛衰の境目は突然にやってくるもの。
シーンから飛び抜ける規模とまではいかなくとも、着実に動員を積み上げて素晴らしいステージを魅せてくれていた(この呼び方は好きじゃないけど)中堅バンドたちの一斉離脱が与えた業界へのショックは凄まじいものでした。
それでも、当時の業界にはその欠損をあまり外側に見せないようにするだけの体力は辛うじて残っていた様で、言ってみたらこの「業界大内出血」とも呼べる状態がずっと続いていた様に思えます。
しかし、かつてのヴィジュアル系ファンが愛用していたファッションブランドや音楽誌が淘汰され、このシーンに特化した数々の専門店が無くなったことで「V系にそこまで興味がなくなった人」を含む多くの人々やメディアにも目をつけられ、気付けば「ヴィジュアル系は下火!!」と声高に宣言される時代がやってきました。
寂しくなる話は嫌ですし、それを言ったところでどうにもなりませんが、事実として「ヴィジュアル系は下火だ」と、私もそう思っています。
と言っても、それはあくまでも「商業的に」ですけどね。

「V系は下火!まじヤバイ!」とワンワン騒がれているときに、その理由について考察し「これが原因じゃない?」「こうすれば良いのに」といった意見も多くあがっていました。
正解なんてあってないような議論ではあるので「なるほどなぁ」と思いながら、話半分に目を通します。
ただ、そんななかで「ヴィジュアル系は下火じゃない!格好良いバンドはたくさんある!お前らが知らないだけだ!」と激昂する意見にだけは全く賛同出来ませんでした。
何故なら、「格好良いバンドがいること」と「ヴィジュアル系が(商業的に)下火であること」には何の関係もないと思うからです。
恒例の「突然なんだ」って話ではありますが、「はじめの一歩」という大変有名なボクシング漫画があり、そこに登場する鴨川源二というジムのお偉いさんがこんなことを言っていました。

「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし!成功した者は皆すべからく努力しておる」

私は「格好良いから下火じゃない」という言葉にこれと少し似た考えを持ってしまうのです。代入したらこんな感じ。

「格好良いバンドが全て売れるとは限らない。しかし、成功したバンドは皆すべからく格好良いのだ」

まぁここはそのまま「努力」でも問題ないのですが、今回に限って言うと「こう思ってしまう私がいるよ!」というお話なのでアシカらず。あざらしあざらし。

売れるバンドには理由があります。
「楽曲が良いから」「ライヴが楽しいから」「戦略が巧みだから」「インパクトがとんでもねぇから」。
個々の好みに全メーターを振り切っている人はそれらを認めず、「顔が良いからでしょ」「営業でしょ」「複数売りしてるからでしょ」と、これまた常套句の様に口にされますが、それら全てをこなしても尚「びっくりするほど売れないバンド」が死ぬほど存在するので、「他にはない何か」の理由なしに売れるバンドなんていないと私は思っています。
かつて、とあるメンバーさんが至極真剣な表情で言った「結局は売れた者勝ちで、そいつが偉い」という言葉は、少なくとも私のなかでは「正解」でした。
それが不本意であるかどうかなんて、そのフィールドで戦っている人たちにとっては大きな問題じゃなさそうです。
特にキャリアの長いアーティスト程、そういったことを潔く口にする印象を持っています。

「格好良い」の定義は、鬱陶しいくらいに人それぞれ異なるものなので、相手の感性を否定したり、それを心から楽しんでいる人に向かって「それの何が良いの?」とつっかかる様な人間は野暮野暮の野暮の助です。
そんなことを言ってくる人がいたなら無視すべしよ。その素晴らしさを教えてあげる義理なんて、こちらにはないですからね。知りたきゃ金出せよオラ(武闘派)。

自分が「格好良い」と思うバンドが売れて、応援できる時間が長く続く。これは、超稀にして本当に幸せなことです。
本来日々のことで精一杯な私たちは、時間もお金も使って人様の人生を応援するほどの余裕なんて有り余っちゃいないはず。
しかし、それでも「もっと大きな場所で観たい」「もっと売れて多くの人に知ってほしい」と素直に思える「誰かがいる」ということは「不可思議」の域にも届く特異的な現象だとさえ思えます。

「バンドマンの高年齢化」について意見される方々も多くいらっしゃいますが、「そりゃ人間だもの」で片付いちゃう。
それよりも、聴き手が歳を重ねても尚心から「格好良い」「ついていきたい」と思えるアーティストが今現在多く存在してくれるおかげで、下火だなんだと騒がれるシーンを「未だ生き延びさせてくれている」という認識を持つことの方が大切だと考えています。
と同時に私個人のことで言うと、それが例え顔も声も知らない相手であれ、「同じ時代を懐かしめる人が多くいる」という事実はとても有難いものです。
一つ前の日記に書いたことではありますが、断固として「今が最低」なわけではなく、「今も素敵」な上で「昔も最高」であったという歴史は塗り替えられない輝きを放つものです。
「こういうことあったよね」と文字にすれば、「あった!」と誰かしらが手をあげてくれる時代に生きられたことに感謝するわ。

さて、そろそろお腹が空いてきたので、この辺で今日の日記をおしまいにしたいと思います。
業界の衰退が与えるショックの多くは内側のお話で、外側の我々にとってはあまり関係のないことだったりもしますので、気負わず滅入らず、今お好きなバンドがいらっしゃる方は共にのんびり応援していきましょう。

それではみなさま。ならさよ。イーバーイーバー。