アーティスト図鑑

DEZERT SORAのこと

SORA【そら】
埼玉県三郷市が生んだ色男にして、ロックバンド「DEZERT」のドラマー。
精神的に恐ろしいVo.千秋、不思議生物ぶりが恐ろしいGt.Miyako、悟りと哲学の濃度が過ぎて恐ろしいBa.Sacchanに囲まれた組織において、問答無用の「物理的な恐ろしさ」を担当するex.ドドドヤンキーである。
地元民にとって憩いの場でもある「スーパービバホーム三郷店」の広大な駐車場をホームグラウンドに、血の気の多い仲間たちとドメスティックな活動を続けていたティーン時代から一転、今ではヴィジュアル系インディーズシーンを代表するバンドの「心臓」を担う敏腕プレイヤーとして活躍している。

X JAPANのhideに憧れ音楽を志し、十代からJOE(DASEIN)の下でドラマーの神髄を叩き込まれ、Xと同じく大きな憧れであったTetsu(D’ERLANGER)やSakura(gibkiy gibkiy gibkiy)といったそうそうたる巨匠ドラマーたちからも愛弟子の様に可愛がられるという、とてもチャキチャキの二十代とは思えぬバックグラウンドと交友関係を誇る。
そんな絶滅危惧種の「昭和魂」は何も偉大な諸先輩方にだけ発揮されるものではなく、「上を敬い、下を慕う」という絵にかいた様な体育会系思想の下、多くの後輩バンドマンからも「頼れる格好良い兄ちゃん」として絶大な信頼を寄せられている。
媚びずして真っすぐに愛される先天的なそのキャラクターは卑怯の極みだ。

前述の話から繋がることではあるが、彼を語る上で忘れてはならないのが、その恐るべき「ドリームキャッチャー」ぶりである。
礼儀を重んじ、向上心を絶やさず、音楽(ドラム)への愛情の大きさが天文学的である彼は、これまでにいくつものビッグドリームを実現してきた。
例えば、彼の父「康夫」の名を冠した三郷市文化会館での凱旋公演『YASUON’S ROCK’18』の開催。首都圏とは思えぬ便の悪い立地にありながら、チケットは瞬く間に完売した。

私が勝手に作った公演記念パネルでござる

更にD’ERLANGERトリビュートアルバムへの参加と多くのライヴ共演。
『JACK IN THE BOX 2018』開催に際し、彼が口にした「Kenさん(L’Arc~en~Ciel)と一緒に音を出したい」の一言から生まれたセッションバンド「SORA with Naughty”RESPECT”stars」の結成。
彼の音楽生命における一番の指標であったX JAPANとの対バンを果たしたVISUAL JAPAN SUMMIT。果てには、そのヴォーカリストであるToshlからソロライヴの奏者として直々にオファーを受けるというドリーム無双っぷりだ。

無論、彼がこれ程までに多くのアーティストから必要とされる一番の要素はそのキャラクター性ではなく、膨大な練習量に裏打ちされたドラムの腕とその華々しいパフォーマンスにある。
そして、そんな彼のドラムが最高峰の輝度で放たれるのは、紛れもなくDEZERTのステージだ。
「パワーヒッター」として認識されることがままあるドラマーではあるが、彼の魅力はそのパワフルなドラミングだけではなく、ミディアムナンバーやバラ―ドにおける感情的でドラマティックなプレイにも強く宿っている。
バンドのメインコンポーザーにして孤高の首謀者であるVo.千秋の才能に全世界の誰よりも惚れ込んでいる彼。
その尊敬と愛を込めて全身全霊で打ち鳴らされるサウンドは、その日その日で表情を変える千秋の歌声によって無限の移ろいを見せる。
音源においても「そこにSORAが居る」と感じざるを得ない「生きた音像」を届けてくれる彼が、生の場である「ライヴ」で輝かないわけがないのだ。
特に「『ピクトグラムさん。』」『TODAY』における拍動の様な心地良く切なく力強いドラムは、楽曲の抱えるメッセージを大きく包みながら聴き手の心臓の奥深くにまで響く。
何度直で受け止めても慣れることのない驚きと感動をくれる彼は、「泣けるドラム」を叩ける稀有にして最高のプレイヤーである。
DEZERTにおいて本当の意味での「逆最前」のポジションを担えるのは、世界中探し回っても彼以外に存在しない。

オフの場においては、「スパイダーマン」「アイアンマン」をはじめとするMARVEL作品や「STAR WARS」といった「THE 男の子が大好きなヒーローたち」をこよなく愛す一面を持ち、長きに渡って彼のブームとなっていた電話口での「スパイダーマンごっこ」はヴィジュアル系関係者の間で非常に有名な遊戯である。
電話を取った瞬間に繰り出される「もしもしスパイダーマンだけど」という似せる気ゼロな地声によるモノマネ劇に「どう反応していいのか分からない…」と頭を抱える業界人が後を絶たず、彼からの着信に怯える生活を送っていた者も多くいたことだろう。

そんな具合にあらゆる意味で「少年の心」を燃やし続ける一方で、日毎右肩上がりに増していく「大人の色気」はもはや二十代のそれではない。
老若男女問わず誰からもモテ、大きな夢を次々に叶えていく彼が嫉妬に狂った変質者に狙われないことを心から願いつつ、「まぁ腕っぷしで彼に敵うわきゃないか」と妙に安堵してしまうのも正直な話だ。

情に厚く、時に涙脆く、恩を決して仇では返さない「真の漢」である彼は、これからも最強のメンバーと共に最高のサウンドを全世界に轟かせてくれることだろう。
DEZERTの夢は彼の夢でもあり、そしてそれは紛れもなく我々の夢でもあるのだ。

用例:「三郷には  海こそないが  ━が居る」(彩の国 愛の一句)

今も尚、三郷市文化会館に飾られているポスター

 

完全版は、じーるりん子ちゃんねるにて公開中。 

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