どこかのビルの屋上から女性が飛び降りた。
その一部始終を写真に収めて、SNSにアップする人がいた。
どこかの誰かが愛憎の刃で男性を仕留めた。
情事の残骸を写真に収めて、SNSにアップする人がいた。
「頭がおかしい。狂ってる。そうまでして注目されたいのか」と憤慨する人もいれば、その写真に恍惚の念を抱いて胸躍らせる人もいる。
人は噂と陰口、真剣勝負と八百長が大好きな生き物だと、私はつくづく思う。
物騒な街渋谷。
私が勤めていた7年の間にも、様々な事件があった。
その瞬間に遭遇することもあれば、「今、すぐそこで殺人が起きたらしいよ!」と騒ぐ人の姿もしばしば目にした。
野次馬根性丸出しでわざわざそれを見に行こうとは思わないが、たまたまその場を通りがかったときは、「なにがあったんだろう?」と数秒だけ足を止めることもあった。
そんななかで、私の記憶に一番大きく残っているのは、109の近くにあるビルが大火事になったときのことだ。
いつもの様に渋谷駅までの道を歩いていると、白く濁った公道に群がる多くの人間が同じ方向を向いていた。彼らの視線は、遥か頭上。
ニュースにもなったあの大火事のまさに真っ只中に出くわしてしまった私は、近くで警告を叫んでいる警察官の指示に従い、小走りでその場を通り抜けた。
その僅か数十秒の間、あれほどの大声で注意をされているのにも関わらず、ビルに向かって携帯カメラを向けている人間を軽く50人は見た。
彼らが一様に「すげー!やべー!」と笑顔で俗語を垂れ流しながら消防士の邪魔をしている姿を見て、「下品な国だこと」と落胆したものだ。
その場から大分離れた西武デパートまで歩き、現場を振り返る。
すると、そこには雲に引火するんじゃないかと思うくらいの火柱が上がっていた。
私のすぐ隣でビルに向かって手を合わせ、心配そうな眼差しを向けていた黒人男性二人の表情が哀しくもとても美しかったことを今でも覚えている。
渋谷を歩いていると、芸能人がロケをしている姿もたまに見掛ける。
その周囲には決まって「撮影禁止」のパネルを掲げている番組スタッフが大勢いた。
しかし、周囲の人間たちは構わず撮影をしまくる。そして、SNSにこうあげるのだろう。
「○○が渋谷にいたwww」
何が楽しいんだろうと思う。
人が死にそうだ、あぁ死んじゃった。
目の前で殴り合いをしている、片方は意識不明の状態だ。
女性が男に暴力をふるわれている、彼女は声を荒げ助けを求めている。
怖くなって逃げるのは分かる。というより、私はそれが正常だと考える。
なんでもかんでも首を突っ込んで、結果的に自分が被害者になってしまうことを「正義」とするなら、敢えてそれを放棄して安全に逃げる方が賢明だ。
その場で110番して、その道のプロを現場に呼ぶことが出来たなら1000点満点!簡単そうに見えて、混沌とした状況下においてそれを冷静にこなすのは想像以上に難しいことだから。
そのどれをも選ばず、あんなことやこんなことに嬉々としてカメラを向ける「報道記者ごっこ大好き人間」を見掛けるたびに私は思う。
「この人たちは、撮影中にテレビ局の報道マンに捕まって"どうして今、撮影をしようと思われたのですか?"と尋ねられたら、カメラの前で何と答えるのだろう」
私は、余程人間の感情が残っていない生き物を除いて、彼らの多くは答えずにその場から逃げ出すと予想する。
面白がって撮影はしたいが、それを撮影している自分の姿を広く世に知られるのは嫌だろうからだ。
現に悲惨な大喧嘩やクレームに狂った客の様子を動画サイトにあげている人間の撮影したムービーはどれも被写体をしっかりととらえておらず、近くを逃げ回りながら撮っているものばかり。
「そんなに怯えながらでも撮りたいのか」と、私にはそれが疑問でしかない。
でも、彼らには彼らなりの考えがあるんだろうとも思う。ただ、それを正面切って言えるだけの覚悟は持ち合わせていないというだけだろう。卑怯者は往々にして臆病者だ。
これから、こういう人間(もどき)はどんどん増えていくと思う。
突然カメラを向けられて、面白半分に喧嘩を売られるサラリーマンなんかも増加するだろう。
そやつらが「面白い」とする下劣な画を収めて、ネット越しの同じく下劣な人間(もどき)に評価されたがる生き物は後を絶たないはずだ。
くれぐれも奴らの餌食にならない様、皆さんには気を付けていただきたいものでございます。
さて、こんな流れで言うのもなんですが、最近携帯カメラが絶不調でピントが全然合わない様になりました。
これまではPhotoshopでいちいち画像を加工してアップしていたのですが、さすがにもう面倒だぞい!と思い、原因を探してみることに。
いろいろと調べた結果、レンズ保護のためについているコーティングが中途半端に剥がれているのを確認しました。
どうやら、こいつを綿棒と歯磨き粉で優しくこすって一度コーティングを剥がし、綺麗に拭き取ってからレンズ用のフィルムを貼り直すと問題が解決するんですって。
とは言ったものの、私の携帯はもう型が古いので、それ専用のレンズフィルムを近場の電気屋さんで見つけることが出来ず、昨日Amazonで注文しました。で、今日届いたのだけ、ドッ!!
なんとなんと、肝心なレンズフィルムが入っていないという惨事!実際は零時!
「発送がAmazonなだけで販売者が違うとびっくりするようなミスも多くあるよ」という噂は耳にしていたものの、初めてそれに出くわしたよ。久我さん風に言うと「あんれまー」ってやつ。
いやはや、位置合わせのためのシールと、フィルムを貼る前にレンズを拭く布だけが届くなんて。眼鏡を買ったら眼鏡吹きだけ渡された様なもんだぞ。こいつはすげーやべー(俗語)。
返品の手続きやお店にメールを入れることも一瞬考えましたが、私の短所である「その金額分損しても面倒さが勝つからもういいや症候群」が発症し、仕方なくコクーンさいたま新都心にあるヨドバシカメラで似たようなものを買ってきました。
型は違うけど、まぁ大丈夫でしょう。それにしても何の加工もしないと写りが悪いなぁ。
ということで、これよりカメラオペを開始します。
明日以降、私のアップする写真たちがピントばっちりだったら「おっ」って思ってくださいね。
それでは、皆様おやすみなさい。良い夜を。より良いナイスサンデーをー。そして、こっこ誕生日おめでとー。