制作

LIPHLICH『CLUB FLEURET』

不埒色した紙上で、ちょっとした恋の小噺を。舞台は女子会。池袋。
「彼のどこが好きなの?」と隣席の友人に尋ねられた際、パパッと彼氏の長所を回答してみせた女。
それに対し、「そんなにすぐ答えられるなんて、よっぽど彼のことが好きなのね!」と感動してくれる相手なら、あれよあれよとおのろけ大成功!
しかし、こいつがとんだ曲者で、「なるほどね。でもさ、その条件を満たす男なら別に彼じゃなくてもいいんじゃない?」などと不躾に言い放ってきやがったとして。
必死に反抗を試みるも、その言葉を咀嚼すればするほどに「もしかしたら、そうなのかもしれない…」と戸惑う乙女がいたとしましょう。

で、です。
そこでじっと文字を追っている貴女様がこの不躾女に少しでも共感してしまう性分で、「好きな理由が上手く言葉に出来ない」という現象こそが最も末期で御熱な恋だとお考えなレディーだったとしたら、是非一度食していただきたい芸術があるのです。

リフリッチを、ご存知ですか?

それはまるで日本がじゅるりと喉を鳴らしながら羨望の眼差しを向ける某ジアラビアの油田の如く、あっと驚く名曲の数々が湧きに湧いて出る泉で、熱狂的なファンですら必死にしがみついていないと振り落とされてしまうハートフルに傍若無人な馬車馬集団の名でして。
一聴した後、「こんな音楽(他に)知らない!」と冷静さを欠き、その実態を探るべく緻密にドラマティックな公演へ飛び込んだらば、「こんなライヴ観たことない!」と目を真ん丸にして叫ぶあなたの未来の姿が2018年のさいたま市から鮮明に見えるのです。

耳にした全人類の心を串刺しにする 年中無休 ギリギリ合法 悦楽クラブ フルーレ。
理由を必要としない、代えのきかない、絶滅危惧の12の宝石。
「新規ハイ」だなんてどこ吹く風。
何年追いかけ回そうが、尽きることのない高揚感を聴き手の奥底から呼び覚ましつづける愉快なリフリッチワールドの入口はこちら。
銀ギラギンのジャケットを持ち帰った今夜から始まるあなたのウェンディライフに幸あれ。