わたくしごと

年間休日行進曲

「3連休最終日の今日は記録的な猛暑が予想されます。こまめな水分補給を忘れずにお出掛けください!」

なんとなくつけていたテレビから、女子アナウンサーのハツラツとした声が響いた。
「そうか、今日も暑いのか。熊谷なんて大変だろうなぁ」なんてことをぼんやり思いながら、冷え冷えのペットボトルをぐにゃりと握り、そいつを口へと運ぼうとしたその道中!ハッとして思わず急停車。
でもって、胸中でこんなことを。

 

「女子アナと…会話が…成立した…」

 

というわけで、今日はこのときの感動(及びSHODO)についてお話したいと思います。
この時点で「あぁそういうことね」と、私が今から話そうとしている内容を先読みできる人間がいたとしたら、まじマジシャン。それもまじまじの。

「埼玉城」とも名高いモラージュ菖蒲

8月10日。月曜日。祝日。
女子アナとスーパーナチュラルなやりとりをキメてみせた私は感動の余韻もそこそこにスーパーナチュラルなウォーターを飲み干し、潤った喉で改めて数秒前の感動を反芻するのです。

「3連休最終日の今日…」

そう、このとき私は「祝日」というもはや迷信でしかないと思っていたXデイをモノにしてしまっていたことに気付いたのです。

振り返れば、高校時代に3年間アルバイトをしていた酒屋に始まり、今の会社に至るまでの約20年間、私の職歴は全て小売&サービス業で埋め尽くされていました。
これらの業種は人々の休日が書き入れ時ですから、「完全週休2日制」「祝日」「ゴールデンウィーク」「お盆」「年末年始」の全てに縁遠い生活を送ってきたわけです。
それが当たり前だった数ヶ月前までは特に憂うことなく、「まぁそういうもんだろう」くらいにしか思っていなかった私ですから、実際にその恩恵を受ける立場になってみたときの衝撃たるやなかなかのもの。
これは、小売&サービス業経験の長い方であれば、首の筋がイカれる程うなづいてくださるであろうアッチ業界の常識みたいなものです。

ひと月遡って7月の23・24日。
この2日が、今の会社に入社してから初めての祝日でした。
私の中ではまだ「幻」の型を留めていたそのXデイズを一週間後に控えたとき、以前もブログに登場してくれた同期のHちゃんが上司とこんな会話をしていました。
※()内のセリフは、この会話を背中で聞いていた私のココロボイスです

 

H「〇〇さん、念のために聞いておきたいんですけど、23・24日って休みですよね?」

上司「え?違うよ?」

(ん?どっちも土日じゃないぞ?何言ってるんだHちゃん)

H「え!祝日なのに休みじゃないんですか?まじかー」

(あ、祝日なのか。でも、まぁ忙しいし休めないわな)

上司「なんてねー嘘だよー休みだよー」

(え!!!休めるの!!??)

H「ちょっとやめてくださいよー!もう予定入れちゃったんですからー(笑)」

(休めるつもりだったのか!でもって事前に祝日のチェックまでしていたとは!Towa!Soan!)

 

Hちゃんは優秀な子で、前職もハイレベルな企業に勤めていたため、「祝日休めないとか無理ですわ〜」ってなことを口にしていましたが、その物言いが私にとってはあまりにもショッキングで、「業種によって、ここまで常識って変わるものなんだ…」と、それはもう唖然としたものです。

しつこい様ですが、「祝日」なんて迷信でした。
それは、いつもとは違う「なにか」がなければ気付くこともない心霊現象みたいなもので、それこそ女子アナの「ゴールデンウィーク初日の今日は〜」とか、「お盆休み最終日の高速道路は大渋滞で〜」といった言葉を耳にしたときや、「今日は平日なのにやたらお客さんが多いなぁ」と口にした際にアルバイトの子から「今日祝日ですよ!」と指摘されたときくらいにしか認識できない様な、とても些細な存在だったのです。
正解を聞いたところで大したリアクションもしないくせに、脊髄反射で「何の日?」と尋ねる癖が20年も続いていたのかと思うとゾッとします。

「祝日に休める会社」
ただそれだけでも超サプライズだというのに、私が今勤めている会社は8月8日から16日までを夏期休業としているため、10日に女子アナが言っていた「3連休最終日」という言葉にすら該当しない始末です。
極端なマイナス(祝日なんて絵空事)から極端なプラス(ついでに平日も休んじゃう)へのこの大転化に未だ心が慣れていなかったりします。

私は働くのが割と好きな方ではあるので、休日が多いことにそこまでの魅力は感じないのですが、逆に「カレンダー通りに休めない会社とかマジ無理!」という方が年間休日2ケタの会社に転職せざるを得なくなったときの絶望感たるや計り知れないものなんだろうなと思います。
そういう私も私で、これまで休日がまるで合わなかった友人とも頻繁に遊べる様になり、それはそれでとても嬉しいので、「じゃあ来週から平日休みね」と言われたら口をへの字に曲げることでしょう。
人は一度贅沢を覚えると以前の生活には戻れなくなる、なんとも愚かな生き物です。
とはいえ、私は根っからの貧乏性なのか、休日が多すぎると不安になってしまうので、もう少し仕事に慣れてきたら、ライターのお仕事を再開する予定だったりします。

今の仕事は、これまでに経験してきた職種とは頭の使いどころがまるで異なるため、怖いくらいに得手不得手が浮き彫りになっていますが、僅かながら思いもしなかった長所にも気付くことも出来て、「異業種への転職にはこういう利点もあるんだな」と妙に感心してみたり。
そして、その長所は今後読み物を作る上でも大分プラスに働くものなので、次なる挑戦としてはじっくりと時間を掛けたインタビューの実施を考えています。
これまで私が「いやいやそれは無理です」と全力失踪(漢字)を続けてきた取材の類ですね。
ずっとやらず嫌いで逃げ回っていたそれに対して、「実は得意分野なんじゃあなかろうか」と思える様な経験が重なったなら、もうやらない理由がないじゃないかと、今はそう思っています。今は。あくまでも今は。

なにも決まっていないのにこんなことを言うのもあれですが、取材場所は私がホームページを作らせていただいた大宮駅徒歩3分の広々閑静お洒落喫茶「Boulogne CAFE OMIYA」を希望します。
写真映えするし、広いし、ゆったりできるし、なによりカフェオレがびっくりするほど美味しいのでね。行ってね。

 

※できたらPCからアクセスしてくだされ

 

とまぁそんな夢物語はさておいても、作り手の感情というのは文字や音声にしなければそのまま無きモノとして流れてしまう儚いもので、それを伝えたい人・聞きたい人の数に対する供給数が圧倒的に不足していると常に感じているので、そのうちのひとつふたつでも結晶化できれば良いなぁと思う次第です。
媒体がいくら増えても、私たちに届くアーティストの声や言葉がそれに比例して増えたかと言うと、むしろ減ってしまっている様な気さえしますので、「そりゃねぇよ」の精神で業界の端っこから行儀良く一個一個拾い上げていきたいものです。スーパーカップもそういう食べ方をしています。

「自分に自信がない」と延々繰り返してきた私ではありますが、新しい仕事を始めてからというもの、自身の奥底に潜んでいた慢心にも痛いほど気付かされています。
「これくらいはできるだろう」と軽く見積もっていた作業にドエライ時間を要しては、「そんな馬鹿な!そんな馬鹿なぁ〜〜〜」と悲鳴をあげ、あげく自尊心を保てなくなり、誰に責められているわけでもないのに「このままじゃ駄目だ。このままじゃ駄目だ」と己を追い詰めて心をポッキリ折ってしまうというね。自作自演の成れの果てよ。情けないったらありゃしない。

着物屋さんのマネキンから叱咤激励

そんなろくでもない失態も繰り返していれば徐々に慣れていくもので、今は少しだけ気持ちも楽になってきましたが、言ってもそれは仮初の安堵に他ならないので、良い感じに怯える日々はまだまだ続きそうです。
「自分が自分を認められない限り、この暗闇からは絶対に抜け出せない」ということだけは明白なので、「やるしかないわ〜」をモットーにお盆明けも頑張ってみようと思います。
みなさんもあまり無理はなさらず、平穏にワクワクできる様なワークライフをお過ごしください。

というわけで、今日は「セミが苦手な女性多すぎない?」というお話にお付き合いいただきました。
目を覚ましたらば、残酷なまでに「自分次第」の人生が再スタート。
盆休み is DEADの幕開けよ。この暑さじゃyo-kaさんが唸るのも無理ないわ。
おやすみENIGMA。引き続き、良い夜をー。