企画記事

コトの真相「紙のフライヤーって必要なの?」編

こんにちは。いつもあざらしの隣にいるうさぎです。
うさぎとしては初となるライター職に就いた私ことうさぎがお届けする未来の大人気コーナー「コトの真相」。
記念すべき第1回となる今日は「自称ヴィジュアル系専門CDショップで働いたことのある男」を直撃。
店員目線で彼が「紙のフライヤー」をどう見ていたのかインタビューしてみました。
終始冴えない男でした。

 

うさぎ
うさぎ
こんにちは。早速質問なんですけどー。
ex.店員
ex.店員
あぁ、はいどうぞ(挨拶もなしとは無礼なうさぎだ)。
うさぎ
うさぎ
今日は「バンドのフライヤー事情」について聞きたいなと思ってまして。
ex.店員
ex.店員
結構深いところから入ってきますね。「事情」って程のことなんてないと思うのですが、なにか気になりますか?
うさぎ
うさぎ
ええ。まず前提として今は音源も配信がメイン、音楽誌もことごとく廃刊になって、Cureもどうやって生き残っているのかマジ謎すぎるご時世じゃないですか。
ex.店員
ex.店員
大分口が悪いですけど、その通りですね。Cureに関しては作り手の愛情と熱意の賜物ですよ。私なんかが言えることでもないですが、本当にすごいと思います。
うさぎ
うさぎ
へぇ。で、脱紙現象として、SNSでは「デジタルフライヤー」なる告知用の画像が作られていますし、そっちの方が拡散力という点でも勝ってますよね?わざわざ費用と労力を捻出してまで紙で作ることに意味があるんだろうかって、うさぎ界隈はみんな言ってるんですけどそれについてどうですか?
ex.店員
ex.店員
個人の見解としては意味なんてないですね。「その形」に思い入れが強いコアなファンにとっては重要なものであることに変わりないというだけで。言ってみればCDも同じで、よくアーティストと熱心なファンが声高に発している「ジャケット・ディスク・歌詞カードを含めて作品だから!」というセリフも一般的にはあまり説得力を持たなくなっていると感じます。特にCDを販売している&フライヤーを設置しているお店の店員さんはその激しい推移を感じずにはいられないでしょう。数字は極めて残酷なものです。でも、そういう時代ですからね。思い入れだけじゃ守れないものが次々と壊れている今、そこにしがみついてイヤイヤ言っていてもしょうがないんですよ。
うさぎ
うさぎ
そんなに悲惨なんですか?
ex.店員
ex.店員
それはそれはお客様の想像を絶するものだと思います。
うさぎ
うさぎ
先程「フライヤーに愛着を持ち続けている人もいる」って言ってましたけど、実際にはどれくらいいると感じてますか?ざっくりでいいので。
ex.店員
ex.店員
うーん…人数でいうと一ヶ月に2人見るか見ないかっていうレベルですね。そういう方はフライヤーが折れない様に専用のファイルみたいなものを持参されます。
うさぎ
うさぎ
めちゃ熱心じゃないですか!ハートが震える!
ex.店員
ex.店員
いやいや、500人に2人くらいですよ。
うさぎ
うさぎ
250人に1人ってことですね。
ex.店員
ex.店員
まぁそういうことですね(うさぎって約分できるんだ…)。
うさぎ
うさぎ
とはいえ、一部の人には愛されていると。紙のフライヤーも捨てたもんじゃないですねー。
ex.店員
ex.店員
いえ、言葉にすると大分酷いですし、お店側にとっても心苦しくてならないんですけど、実際は「捨てられるもん」なんですよ。その250人に1人の極少数な方を除く大多数からすれば、雑誌の立ち読みと同じ様な温度感なんです。「とりあえず見るか。買わん(貰わん)けど」って。
うさぎ
うさぎ
え?ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんですけど、まさか店がフライヤーを捨てているわけではないですよね??
ex.店員
ex.店員
…いえ、捨ててます。
うさぎ
うさぎ
ヒィィェエエエバンドが宣伝用に作ったものをなんだと思っているんだ!!
ex.店員
ex.店員
約分が出来るくらい賢いライターさんなので、ここはひとつ感情論を棚に置いてもらって、現実的に考えていただきたいんです。手前味噌ではありますが、私が働いていたお店は他店に比べてもかなり大型のフライヤーラックを設置していましたし、ショッパーに折り込むことはもちろん、ラックとは別にバンドのコーナーにも必ず平積みしていましたので、配布しきる努力はどこよりもしていたと思うんですよ。でも、どうやったってなくならないんです。
うさぎ
うさぎ
本当かなぁ(疑)。そもそもなんですけど、フライヤーってどういう風にお店に届くんですか?
ex.店員
ex.店員
ルートは色々ありますが、例えばバンドが所属する事務所さんから販促グッズ(ポスターとか小さなPOPとか)と一緒に送られてきたり、全国流通をしているバンドだったら流通元から届いたり。でも、一番多いのはメンバーさんが自らお店に持ってきてくださるケースですね。
うさぎ
うさぎ
確かにそういうイメージがあります。わたしもあざらしとDOFのCD買いにいったときにruiさんが店にいて固まりましたもん。いやーイケメンだったなぁ。何食ってんですかね?
ex.店員
ex.店員
知りません。でも、まさにそういう感じで、リリースが近付いたり、近場でライヴがあったときなんかに持ってきてくださるんですね。一店舗だけ回るということはほぼないので、みなさん重たいフライヤーの束をあちこちのお店に運ばれています。
うさぎ
うさぎ
それは重労働だ。だからバンドマンは細い人が多いんですね。
ex.店員
ex.店員
それは全然関係ないと思いますけどね。ちなみにうさぎさんはCDショップのSNSをご覧になることありますか?
うさぎ
うさぎ
そんなに見ないですけど、好きなバンドがRTしてたりすると見ますね。
ex.店員
ex.店員
そうそう。それがすごく大事なんですよ。もちろん「フライヤーを届ける」という目的が第一なんですが、そうやって「お店のSNSに載っていく」というのも宣伝活動において大きなことなんです。今は本当に便利な時代で、自分の好きなバンドの情報だけを見ることが容易に出来る反面、他のバンドに触れる機会が減っていると思うんですよ。
うさぎ
うさぎ
あー確かに。店のSNSに載れば、その店のフォロワーのTLには流れますからね。
ex.店員
ex.店員
そうです。とてつもなく些細なことですが、それですら貴重な機会だったりするんですよ。メンバー個々が頻繁に情報発信を出来る時代ではありますけど、それってあくまでも「既存のファン」にしか届かないものですからね。余程トリッキーな発信であれば別ですが。
うさぎ
うさぎ
え?トリ様の話ですか?プロカリテ?
ex.店員
ex.店員
誰もTЯicKYの話はしていません。ただ、彼の話は過去に私のブログで書いたことがあるので、良ければそれを見ていただけますか?
うさぎ
うさぎ
そうですか。まぁ見ませんけど。
ex.店員
ex.店員
(焼くぞキサマ)。言ってしまえば、フライヤーもSNSと同じなんですよ。自由に自分の好きなバンドのものだけを手に出来るので、新バンドの発掘に余程貪欲な方でない限り、新しく生まれたバンドの情報は一切入らないんです。更に言うと、好きなバンドのフライヤーなら既にライヴで受け取っていますから、わざわざお店で貰う必要なんてないんですよ。実際に店内でも一緒に来た友達との会話のネタとしてサッサッと一枚一枚持ち上げては、「このバンド前に対バンで観たわ~」「え~この人、誰々に似せすぎじゃない?」なんて軽く話題にされるだけで貰われることなく戻されちゃうので。
うさぎ
うさぎ
なるほど。それは確かになくならないですね。
ex.店員
ex.店員
でも、新しいフライヤーは次から次へと届くので、循環させなければならないわけです。例えば「無礼ウサギライターはよ帰レ。」というバンドのフライヤーが届いたとして、そこで告知されているツアーファイナルの日程が10月31日だったとしたら、10月31日までに配り切らないといけないんですね。ただ、何度も言うようですが、何をどうしたって余ってしまうんですよ。「別に期間が過ぎても残しておけばいいじゃん」って言われちゃいそうですけど、お店のスペースは有限ですし、それをやってしまうとものの一ヶ月でそこは「フライヤー屋さん」になってしまいます。CDを置くところなんてない。
うさぎ
うさぎ
だから、捨てるしかないと。
ex.店員
ex.店員
もちろん、どのお店もそれが「正しい」とは思ってないですよ。特に事務所に所属していないバンドにとって、フライヤー制作の費用がどれだけの痛手であるかなんて重々承知ですし、なによりこんな時代にあっても尚フライヤーを作り続けているバンドはそこに意味を感じているわけですから、その気持ちに応えきれなかったというのは本当に心苦しいです。
うさぎ
うさぎ
なんか悲しい気持ちになってきましたけど、仕方ない気もしてきました。
ex.店員
ex.店員
余談というとあれですけど、お店としても大量のフライヤーを処分する際に結構な費用が掛かるんです。度重なる事業ごみ回収の請求も大きな問題だったりするんですよね。
うさぎ
うさぎ
そしたらもう紙のフライヤーなんていらないんじゃないですか?
ex.店員
ex.店員
ほとんどの人がそう思っている…というより、そこまでフライヤーについて深く考えている人はいないというのが実情だと思います。ある日突然「フライヤー作るの辞めました」と言われても「寂しいねぇ」の一言で済むでしょうし、そこに対してクレームを入れるファンもいないでしょうから。でも、やっぱり「あるものがなくなる」って寂しいですよね。
うさぎ
うさぎ
でも?思い入れだけじゃ~?
ex.店員
ex.店員
守れない!!
うさぎ
うさぎ
ひとつになりましたね。ちょっと聞きたいんですけど、フライヤーにまつわる良い話ってないんですか?
ex.店員
ex.店員
良い話というか、今フライヤーを作っているバンドさんって紙の質がめちゃ良かったりするんですよね。やっぱりこだわりって紙質にも出ると思うんですよ。マットコート紙の110kgが主流になりつつあr
うさぎ
うさぎ
あの、それはkaniさん個人の趣味ですよね?POPの紙質にも無駄にこだわってたような。
ex.店員
ex.店員
こだわってましたね。あ、一応「名前を伏せる」というお約束でインタビューをお受けしているので、ちゃんと今の名前のところは消しておいてくださいね。
うさぎ
うさぎ
もちろんです。kaniさん。
ex.店員
ex.店員
あとはそうですねぇ。フライヤーにまつわる微笑ましい話でいうと、地方のお客様とのやりとりですかね。フライヤーを猛烈に欲するのって地方の方が多いんですよ。あまり近場で手に入らないという理由で。なので、通販を利用されるお客様が備考欄に「フライヤーたくさん入れてください!」って書いてくださっていたりすると、重量で送料が変わらないギリッギリのラインまで詰めてました。お店としては当たり前に「配りたいもの」なので、そういうときは嬉しかったです。小さなことですけどね。
うさぎ
うさぎ
どこでも手に入る主要都市民との違いですね。
ex.店員
ex.店員
そうですね。やっぱりある程度不便でないと人は欲しがらない生き物なんだと思います。「手間」って愛ですからね。
うさぎ
うさぎ
なんか良いこと言った感出してますけど、そこは伏字にしておきますね。
ex.店員
ex.店員
なんでよ。
うさぎ
うさぎ
というわけで、今回は紙のフライヤーについて元店員さんに聞いてみました。あ、ちなみになんですけど、読者に質問を募ってもいいですか?
ex.店員
ex.店員
うーん…それはどなたがテーマを選出されるんですか?
うさぎ
うさぎ
もちろんわたしです。
ex.店員
ex.店員
なら駄目です。
うさぎ
うさぎ
この記事の更新告知ツイートが50RTされても?
ex.店員
ex.店員
駄目です。
うさぎ
うさぎ
みんなでがんばりましょ~ではまた次回~。