「All of the DEVIL RICH MON$TARS」と題したデビルリッチモンスターシリーズ動画が完結しました~(超充血)。
その名の通り、「すべてのデビルでリッチなモンスターたちへ~GOOOO!!!!!」という意気込みで編集をしていたので、気概のキガの字くらいまでは届いていることを願うばかりです。飢えとる。
ご覧いただいた方、リツイートや高評価、さらには感想まで投稿してくださった方々には埼玉銘菓十万石まんじゅうを配って歩きたいほどに感謝しております。
さて、話は唐突に陰謀論へ。
今回の3つの動画には、いくつもの課題と裏テーマが存在していました。
初回のLIPHLICH篇公開前に「やりたいことがひとつ叶った」ってなことをインスタのストーリーでこぼしたのですが、ご覧になられた方には、「デビルリッチモンスターの動画が作りたかった」という意味で伝わっていたことかと思います。
もちろん、それも「やりたい」のひとつであることに変わりありませんが、私がここで口にした「やりたいこと」というのは、それとはまた別の願いであったことをここに白状します。
「アーティストと双方向のライヴレポを作りたい」
これがLIPHLICH篇で一番やりたかったことでした。
「解体新悟」の企画を久我さんに提案させていただいた際、しつこいくらい口にした「制限をとっぱらいたい」「”今までがこうだったからこれからもこう”という風習から抜け出したい」という言葉にも繋がるのですが、私はテキストベースのインタビュー・ライヴレポに限界を感じています。それも、もう何年も前から。超が付くくらいに。
時代に合っていない。
情報量が少なすぎる。
書かれていることが大体同じ。
提案動画でお話したことに付け加えて、以上の3つがその理由です。
特に3つ目に関してはシステムによるもので、外部に収められる原稿である以上、個人で大きく動かせるものではありません。
それに「書き手による差」なんてのは、余程の才人でない限り、当人が感じている1/1000も読み手には伝わらないものですからね。
「じゃあどうしたらそこから抜けられるかなぁ」と考えたときに思い付いたのが、LIPHLICH篇でちょこっとだけ試みた「アーティスト本人と一公演の話をして、それを音声でみなさんに聴いていただく」という手法でした。
ステージから観た景色、歌唱中の閃きや感触はアーティストにしか知り得ないもの。
しかし、客席にいる我々にもそれと肩を並べるくらいに偉大な特権があります。
それは、彼らの表現を客観的に受け止められるという、超がつくほどの専売特許です。
灯台下暗し。
LIPHLICHで言えば、久我さんには今その瞬間の自分が1m先の人間の目にどう映っているか、表現を共にする他のメンバーさんがどんな表情でどんなアクションをしているかが見えていません。
「舞台上の自分は、自分の目で観ることができない」
当たり前のことですが、これって結構大きいことだと思うのです。
「ショーマンにしか見えないもの」
「わたしたちにしか見えないもの」
双方にとっての特権を共有しながら一日のライヴを振り返る時間は、音声にもまるまる乗っかっていた通り、とても有意義で愉快なものでした。
こういったやりとりをテキストで公開することも可能っちゃ可能ですが、悔しいくらいに声ってやつは底知れぬ魅力に溢れているんですよね。
実際に私も「解体新悟」の音声を文字に起こして記事化していますが、伝わるものが極端に小さくなるため、「あーあ……」と軽く落ち込みながらキーボードを打っているくらいですから。
記事の役割は動画への誘導係なので、そこに多くは求めまいと思いつつも、やはり不完全感は拭えません。
とはいえ、テキストにももちろんメリットはあります。
インタビューに関していうと、誤魔化しがいくらでも利くことですかね。
あとになって「ちょっと言葉を付け加えよう」「言い回しをこう変えちゃおう」なんてことも容易。場の空気を実際の100倍和やかに演出するんだってお茶の子さいさい。
「なんだこの葬式みたいなインタビューは……」という音声が元であっても実際に掲載される記事では大爆笑祭りになっているなんてこともよくあります。ある意味、技ですね。ときどき魔法か。
ただ、これが音声となるとそうはいきません。
黙ったら終わりですし、発言も声色も変えることは出来ない。
作り笑いも知ったかも信頼の有無も一瞬でバレます。聴く人がファンであれば尚更に。
声が伝えられる情報の多さって、意識すればするほど本ッッッ当に凄まじいんです。
どちらもやってみたからこそ痛感することですが、取材時・取材後問わず、費やす労力も精神力もテキストの方が遥かに楽。
一人で完結させられるものであれば、難易度はバタッと逆転するんですがね。
しかししかし、リスクの裏にはいつだってキラキラな得が隠れているもの。
それは、良い取材であったときに持ち帰れる言いようのない感情の臨場感、そして、観てくださる方へそれを届けられる喜びです。
こればっかりは文字じゃ到底太刀打ちできません。
「上手くいくかはやってみないと分からないけど、伝えたいものを犠牲にするくらいならイチかバチかで挑戦してみたいな」
そんな考えから、久我さんご協力のもと、「解体新悟」及び「休廷談話」がスタートしました。
次々と動画を公開していくなかで、「あぁこれは動画作りをしていなければ気付けなかったことだな」と思うことがいくつかあります。
特に面白いなぁと思っているのが、視点の違いによる「位置の差」。
感覚的な話になってしまいますが、視聴される方ひとりひとりの位置がまるで違うのです。
私は、ご覧になられているあなたを「視聴者」ではなく、取材に同行している「謎の人」として見ています。顔も名前も年齢も声も性格も次女か三女かも知りはしませんから。
言わば、「取材同行権を獲得した謎の人をいかに楽しませられるか」という勝負ですね。
そして、後日頂戴した感想によって喜んでいただけたかを知ると同時に、あの取材時にあなたがどの席に座られていたのかも知ることになります。
元からLIPHLICHを応援されている方は、久我さんの真横のお席。あの美しき横顔を一点凝視。
もう完全なる久我新悟オンリービューで、「久我さん格好良い!久我さん大人!!久我さん天才!!!スキッ!!!!」といった猪突猛進っぷりを露わにしてくださいます。
一方、私の作るものを好んで観てくださっている方は、円卓で向かい合う久我さんと私のはす向かい。上から見ると、時計でいう3時のお席ですね。
「二人のやりとり良いわぁ」「歌詞の話おもしろいなぁ」と俯瞰から眺めながら、テーマとしてあがった作品を聴いてくださったり、実際にライヴへ足を運んでくださったりと、実に自由な楽しみ方をされている印象を受けています。
でもって、いわゆる関係者と呼ばれる方々は、久我さんの背後。LIPHLICHのステージでいうところの小林さんのお席です。
久我さん越しに私を睨みながら、企画・構成・編集・話術といった、技術的な部分にフォーカスしたお言葉をくださいます。
平たく言えば「視聴者」。
しかし、私にとっては「謎の隣人」。
言葉としてはヘンテコですが、「感じ方」ならぬ「感じようとし方」が座り位置によってこうも変わるものなんだなぁと、それをとても面白く思うのです。
私には文章でも動画でも、編集を終えた後に必ずすることがあります。
それは、あらゆる立場の人と入れ替わった気持ちになって、今完成したばかりのものを見ること。
まずは、作った当人である自分自身が満足できるものになっているか。
続けて、元からそのバンドのファンでいる方から見たらどうか。
そのバンドのことをなんとなく知っている方から見たらどうか。
まったく知らない方から見たら。
アーティスト本人が見たら。
その関係者が見たら。
そんな具合に計6回、瞬きなしの大憑依チェックを入れます。
編集中は脳がおかしくなるくらい確認作業を行いますが、一番神経を使うのは公開前のこの6回です。
とはいえ、人様の気持ちなど完璧に理解できるわきゃあないので、「なんとなくこうだろうな」という想像の範疇に過ぎないのですが、不用意に人を傷つけるもの、誤解を与えるものであっては作る意味がないので、最低限の大前提項目として今後も欠かさずに続けていきます。
隣人を知るには、隣人の声からあらゆる想像を膨らませることがまじ大事。
いい感じに話が逸れました。3マスもどります。
旧譜も歌詞もないがしろにされがちで、余程のヒットメーカーでない限り、それを語る場すら与えないのが現状のメディアです。
でも、これはもうしょうがない。運営も慈善事業じゃないですからね。時間も予算も有限ですし、なにより時代が時代ですから。
今はヨソサマの媒体に頼らずとも、アーティスト本人が個人の配信で楽曲解説をすることも簡単。
ただ、問題はそれを届けられる「範囲の狭さ」にあります。
今いるファンのなかの、更に配信を聴くくらいに熱心な方にしか届かない。
例えそれがライヴに行くくらい好きなアーティストであっても、配信時間に合わせて必ずチェックをしている方なんてのは、おそらく全体の1/10もいないんじゃないかと思っています。
もちろん、「コアなファンにより深く自分の世界を理解してもらいたい」という目的であれば最高の選択ですが、「自分のファン以外にも届けたい」と思うのであれば、そこから一歩外れた場所で活動することも大変重要なことです。
それは外部のメディアでも良いですし、他バンドとの対談(コラボ)なんかでも良いでしょう。
あまりにも非力ですが、今後その相手役として、凡人未満の不出来な私が機能できたらいいなぁと思いながら作っているのが、じーるりん子ちゃんねるの動画たちだったりします。
今回のデビルリッチモンスターシリーズもそうでした。
こんなにもイケてる3曲のことですら本人の口から語られることもなく、当たり前のように過ぎ去ってしまう。
「なんでこのライヴのレポがどこにも掲載されないのか」
「なぜこのCDについてもっと語られないのか」
本ツアーに限らず、おそらくインディーズバンドのファンのほとんどはそれに疑問すら抱きません。
何故って、そういうものだと思っているからです。
いや、「そういうものだ」とさえ思わないくらいに当たり前化しているからと言ってもいいでしょう。
慣れであり、諦めであり、風習。私が一番壊したいものです。
「ライヴが楽しかった」「コンピCDめちゃ良かった」→「それでは次の公演へ」という当然の流れを私は少し寂しく思っています。
「もうちょっと、この話したいのにな」と。
それを解消してくださったのが、大天使久我様だったというわけです。
といっても、「こういう意図があって~」というお話はしていないので、久我さんからすれば何のこっちゃだと思うんですけどね。
LIPHLICHがDOFに贈り、Leetから贈られた2曲について伺う。
企画の根っこにある「一聴き手がそれを聴いてどう感じたか」を過剰に混ぜ込みながら、その形式でないと聞くことのできなかったエピソードやリアクションを引き出して、それを共有したい。
つまりは、先程のライヴレポの話でもお伝えした「双方向であること、肉声であること」に全体重をかけたコンテンツ作りそのものです。
今回の企画は、「休廷談話」内で行われたものでした。
「休廷談話」は、本来久我さんのパーソナルな部分を陽気に語らう場なので、「デビルリッチモンスタァァアア!!」と声を張り上げてはみたものの、企画の目的は「動画を通してLIPHLICHを知ってもらうこと」に他なりません。そう、他ならない。はず、だったのですが……
最終的には、「久我さんのお話を通して、DOF・Leetがどれだけ愛されているのかも2バンドのファンの方々に伝えられたらいいワ」と思いながら、収録を進めている自分がいました。
これは極めてミーハーかつ客観種族である私の性格によるものでしょう。どうにもならない。
なんて言ってもね、伺ってみるとやっぱりあるんですよ。面白いお話の数々が。
「お互いに曲を贈り合う」という突飛な発想から生まれた作品について聞けるのは今しかない、ここしかない!
そうは思っても、「そういうもんだから」で見過ごせるほど私が大人じゃなかったってだけなんですが、「あらァ、こういうのも悪くないじゃない」と感じてくださった方がいるなら、まだまだ続けていく意味はありそうだなと、それをとても嬉しく思っています。
ワンマンライヴの双方向型音声レポとか面白そうじゃないですか?そうでもないのかな。形にならないと分かんないか。私も同じです。
ファンの定義なんてのは人それぞれ。
誰もが自分が思っているほどの正解なんて握っちゃいないもの。
ただ、そんななかでも漠然と「こういうものなんじゃないかな」と思っていることがあります。
それは、「自分が好きな人を大切にしてもらえるのは嬉しい」ということです。
大勢でなくとも、公開した3本の動画を通して、「私の好きなバンドは愛されてんだなぁ」と思っていただけたら、マジモンの幸いにして裏テーマにおけるスーパーゴール。
「この人、私の好きなバンドとも仕事しないかな」とまで思ってくださった方がいたならハットトリックですね。叶う様に精進します。
まぁ制作費は高くつきますがね(魔請求)。
最後に宣伝です。
動画をご覧になって、「久我さんって面白い人だなぁ」と思われた方へ。
「休廷談話」というコーナーでは、久我さんと私があの感じでワハハと雑談している動画を公開しております。どれも10分程度です。
LIPHLICHはおろか、バンド・音楽にすら全く関係のない話も飛び交っておりますので、ご興味がございましたら是非こちらへ。
▼「休廷談話」再生リスト ▼
「歌詞の話を聞くの楽しいかも」と思われた方へ。
「解体新悟」では、面白い歌詞を書く面白い久我さんによる面白い裏話を公開しております(先に言っときます。まじ長いです)。
古い作品から順を追って紐解いており、どれもこれもサブスクで聴ける楽曲ばかりなので、動画視聴後には是非楽曲も楽しんでみてください。
「インタビュー」とも「対談」とも呼べないレベルで私も話しているため、鬱陶しい部分もあるかと思いますが、美味しいお飲み物片手にのんびりどうぞ~。
▼「解体新悟」再生リスト ▼
最後に、ウェンディの皆様へ。
現在、「解体新悟」のルミナス回続編、及び第四審『月を食べたらおやすみよ』&『Pink Parade Picture』篇を編集しております。
できる限り早く出せる様にしますので、もう少々お時間をくださいまし。ここだけの話、めちゃ良い感じです。
そんなところかな。
本来であれば、「LIPHLICH TIMES MUSEUM」の限定記事として公開するようなお話でしたが、今回はオープンにしてみました。
今も昔も自分にしか出来ないことなんてひとつもありませんが、自分しかやろうとしないことならいくらかあるように思えますので、今後もそういったものを作り続けてまいります。
もし、各種媒体に今以外を望まない理由が「それしかないから」「そういうものだと思っているから」「そもそもそんなこと自体考えてもいなかった」のいずれかであるなら、今後もお付き合いいただけますと幸いです。
テキストはもう無理~と言いながら、ちょっと書き過ぎた。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
デビルリッチなモンスター動画はずっと残り続けますので、「どうしよう、20分空きが出来ちゃった」ってなときにでもまた観に来てくださいね。待ってます。
ではでは、今日はこのへんで。
LIPHLICH、Develop One's Faculties、Leetspeak monsters、そして彼らを愛する鋭く豊かな御耳と感性をお持ちのあなたに幸あれ~。
▼ LIPHLICH篇 ▼
▼ Develop One's Faculties篇 ▼
▼ Leetspeak monsters篇 ▼